相続税法を細部まで理解している税理士が担当します

相続の手続き

相続の手続き

遺産分割協議の流れや相続の放棄・限定承認、相続についての手続きについて説明します。
Q&A形式で下記に記載しますので、ご参考にして下さい。

1. 相続の流れ

  • Q1、相続が開始すれば、まず何をすればよいですか?
    • A1、次に相続開始後の流れ、手続き等について記載します。

      相続の流れ手続きの種類期限手続き先(窓口)提出(必要)書類
      被相続人の死亡
      お通夜・葬儀
      初七日
      死亡届7日以内市区町村役場死亡診断書
      遺言の有無の確認
      相続財産・債務の調査
      遺言書の検認相続後
      遅滞なく
      家庭裁判所遺言書
      戸籍謄本等
      相続放棄・限定承認
      相続人の確認
      相続の放棄
      限定承認
      3ヶ月以内家庭裁判所相続放棄申立書
      戸籍謄本
      所得税の確定申告準確定申告4ヶ月以内税務署確定申告書等
      遺産分割の協議
      相続財産の評価
      遺産分割協議書の作成
      財産目録の作成
      相続人全員の実印、印鑑証明書
      相続の開始財産の名義変更
      登記申請
      金融機関
      証券会社
      法務局 など
      相続税の申告
      及び納付
      相続税申告書の作成10ヶ月以内税務署相続税申告書
      遺産分割協議書
      戸籍謄本
      印鑑証明など
  • Q2 遺言書が見つかった場合、どうすればよいですか?
    • A2 被相続人が、公正証書遺言を作成していた場合、日本公証人連合会の遺言書検索システムを利用すると便利です。
       相続人等の利害関係人であれば、最寄りの公証役場で遺言書があるかないかを確認してもらうことができます。
       その際、遺言者及び相続人等請求者の戸籍謄本、請求者の身分証明書(運転免許証)が必要になります。

      被相続人が自筆証書遺言を作成していた場合、遺言書が見つかっても、すぐに開封してはいけません。
       遺言書がある場合には、家庭裁判所で遺言書の「検認」という手続きを受けなくてはなりません。
       この「検認」の手続きは、相続人全員に遺言書の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の偽造や変造を防止するためのものです。
      検認を怠ったり、勝手に遺言書を開封したりしても遺言書自体が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料の処せられます。
       また、検認をしないと相続登記や預金通帳等の相続手続きが行えません。
       なお、見つかった遺言書が公正証書遺言の場合、検認の手続きは不要です。
       遺言書検認の手続きは、遺言書を保管していた人や遺言書を見つけた相続人が、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てて行います。申し立てに必要な書類は以下の通りです。

      • 申立てに必要な書類
      1. 申立書 1通
      2. 申立人、相続人全員の戸籍謄本 各1通
      3. 遺言者の戸籍謄本等(出生時から死亡までのすべての記載のあるもの) 各1通
      4. 遺言書の写し(遺言書が開封されている場合)
  • Q3 相続人の調査はどのように行えばよいですか?
    • A3 「だれが相続人か」調べるには、亡くなった方の記載のある戸籍謄本をさかのぼって調べなければなりません。その戸籍謄本は通常1通ではありません。
       たとえば、転籍や婚姻などをされている場合、転籍前や婚姻前の本籍地所在地の市区町村で、除籍謄本や改正原戸籍を取得しなければなりません。
       また、現在の戸籍謄本がコンピューター化されている場合、コンピューター化前の改正原戸籍も取得しなければなりません。
       この戸籍謄本の記載から、配偶者の有無、子供の有無や人数、親や兄弟姉妹の有無(生死)、各法定相続人の法定相続分などが分かります。

2. 負債の相続

  • Q1 借金も相続しないといけないのですか?
    • A1 被相続人の財産を相続するもしないも相続人の自由です。
      相続財産には、プラスの財産(積極財産)もあればマイナスの財産(消極財産)もあります。
      親が残した借金を子が相続する場合がよくあります。

      そのようなときには家庭裁判所に限定承認や相続放棄の申述をするのがよいでしょう。
      相続について、相続人は無制限に受け取るか、そうしないかの選択権があるということです。

      1. 相続選択について
        単純承認
         相続人が被相続人の財産を無制限に相続するとき、単純承認といいます。
        被相続人の財産をすべて受け継ぎ、一切の責任を負うことになります。
        単純承認をする場合、法律的な手続きは必要ありません。
      1. 相続放棄
         相続財産を調査した結果、被相続人(ここでは亡父)仮に相続する積極財産(現金、預貯金、債権、不動産など)が1000万円、消極財産1500万円あれば、差し引きすると、マイナス500万円相続することになります。

       相続人が思わぬ借金を相続によって負わされます。これでは相続人の生活を苦しめ、本人の意思を無視することになります。
       そこで、とにかく全面的に財産の相続を放棄することが出来るよう民法に定められています(民法915条、938条)。これによって亡き父の借金は払わなくてもよいことになります。

       相続の放棄をする場合は、自分が相続人となったことを知った日から3ヶ月以内(この期間を熟慮期間という)に家庭裁判所に申し立てをしなければなりません(民法915条)

       なお相続人が複数人いる場合も、各相続人は自己の相続分について相続放棄の手続きを進めることができます。また、考慮期間を過ぎると、自動的に相続する意思があるとみなされ(法定単純承認)、借金も相続することになるので注意が必要です(民法920条2項)

      1. 限定承認
         限定承認という手続きをとった場合は、相続によって得た財産を限度として借金を返済することなります(民法922条)
         
         先ほどの例でいえば、借金額が1,500万円、積極財産が1,000万円ですので、積極財産額の1,000万円を限度として借金を支払えばよいことになります。
        こうすればプラスマイナスゼロになって、相続人が借金を返済するために新たな経済的な負担を負うことはありません。

       ただし、限定承認をしようとする場合は相続放棄とは違い、考慮期間内に全ての相続人が合意する必要があります(民法923条)
      また、この合意に基づいて作成した「財産目録」が必要になります。これを添えて、相続人全員が共同で家庭裁判所に限定承認の申し立てをします(民法924条)

       限定承認を申し立てる理由としては、調べても借金の総額がはっきりせず、相続放棄することが得なのか損なのか分からない場合、あるいは先祖代々受け継いでいる家宝を手放したくない場合などが挙げられます。
       
       相続開始を知ってから3ヶ月以内に限定承認や相続放棄の申述をしなかったとき、申述の前や後に財産の全部または一部を使ったり隠したりしたときは、単純相続をしたことになります。(法定単純相続)

  • Q2 ひとりでも限定承認できますか?
    • A2 できません。

       「限定承認」は相続財産の範囲内で債務も引き継ぐということから、一見有利にみえるが、その選択には慎重な対応が必要です。

       相続放棄は当該相続人一人でも可能だが、限定承認は共同相続人全員で行う必要があるため、相続の方法を決定する熟慮期間(知った日から3カ月以内)の開始時期も全員が相続を知った日となります。

      しかし、いちばん大きな問題点として、相続人が限定承認を行った場合、被相続人が相続開始時点の価額で全資産を譲渡したものとして「みなし譲渡課税」が行われることです。

  • Q3 3ヶ月たった後でも相続放棄できますか?
    • A3 相続放棄は原則として、相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に手続きをとらなければならないことになっています。

      しかし、亡くなってから3ヶ月の期間が経過した後、借金の請求が来て、そこで初めて借金の存在を知った場合でも、放棄をすることが出来ないのであれば非常に酷です。

       判例では、相続放棄が出来る期間を経過した後でも、債務(借金など)の存在を知らなかった場合など一定の要件を満たせば、自分が相続人という立場であると知り、借金の存在を知った時から3ヶ月以内に相続放棄の手続きを良いとされています(例外ではあります)。

      ★3ヶ月後の相続放棄における判断基準
      3ヶ月後の相続放棄が認められないケースは以下の通りです。

      1.相続人として亡くなった方の財産を受け取った、処分した場合
      2.相続財産を隠すなどの背信行為をしたとき
      3.自分が相続人であること、借金があることを知っていたとき

      この場合、プラスの財産もマイナスの財産も全て受け継ぐ「単純承認」をしたとみなされます。

  • Q4 相続放棄をすると生命保険金は受け取れないのですか?
    • A4 相続放棄をすると生命保険などの保険金は受け取れるのでしょうか?

      生命保険を受け取れるかどうかは、生命保険金の受取人がどなたかによって変わってきます。
      生命保険金の受取人が相続人の場合・受取人の指定がない場合・受取人が亡くなった方の場合と3つに分けてご説明します。

      1. 受取人が相続人の場合
       生命保険金の受取人が相続人の場合、相続放棄をしても、生命保険金は当然に受け取ることができます。
       受取人が相続人であれば、生命保険金は相続財産に含まれず、相続人は自己の権利として当然に保険金を請求することができます。

      2. 受取人の指定がない場合
       裁判所は「保険受取人の指定のない時は、被保険者の相続人に支払う」という保険約款があった場合には、保険金受取人を相続人と指定したと解すべきとしています。

       つまり、「保険受取人の指定のない時は、被保険者の相続人に支払う」という保険約款があれば、相続人は自己の権利として当然に生命保険金を受け取ることができます。

      3. 受取人が亡くなった方の場合
       生命保険金の受取人が亡くなった方の場合、相続人は生命保険金を受け取ることができません。亡くなった方が受け取った保険金を相続人が相続したみなされるからです。

3. 遺産分割協議

  • Q1 遺産分割協議はどのように行えばよいのですか?
    • A1 遺産分割とは、相続人が複数いる場合に相続財産を各相続人のもの(所有)にするということです。

       法的に言うと、相続財産はいったん相続人全員の共有財産になります。それを遺産分割手続によって各相続人に分けるのです。

      遺産分割はいつまでにしないといけない、ということはありませんが、相続税の申告期限が相続開始日(亡くなった日)から10ヶ月と定められていることから各種の税法上の控除を受けようと思うと、その期間内に行うのが望ましいといえます。

      また、遺産分割をせず、放っておくと相続人が次々と増えたり(代襲相続)、相続人の居所がわからなくなったりして、困難になることがありますので、早めにしてしまいましょう。

      遺産分割の方法は、相続人が協議してそれぞれの相続財産を誰が相続するかを決定し、それを遺産分割協議書に記載して行います。また、その分割の方法は、現物分割(個々の遺産を現物として分けること)、換価分割(現物分割ができないときにそれを売却したりしてお金に換えてそれを分割すること)、代償分割(うまく現物では分割できないが現物を残しておきたいとき、その不足分を現金等で他の相続人にお金で支払うこと)があります。

      1.遺産分割するとき注意すること
      (1)対象の財産を確定する
       よく見受けられる遺産分割協議書の間違いに(あながち間違いとは言えませんが)相続財産として
       不動産(土地、家屋)しか書いてないものがあります。
       相続財産といえば、すぐ思いつくのが土地、家屋なのでそうなるのも仕方がありませんが、これでは不動産以外の相続財産の分割ができません。

       相続財産というのは、不動産のほかにも現金、預貯金、株券、自動車など多岐にわたります。
       きちんと、相続財産を調査した上で分割協議をしないと二度手間三度手間になることになります。
       しかし、いくら調査しても探し漏れのある相続財産があります。

      そういったものの手当ても考えておいたほうがいいでしょう。 

      (2)相続人の確定をする
       次に必要なことは、相続人の確定です。
       「そんなん、例えば、父親が亡くなって妻と子供がいる場合は、妻と子供だけじゃん。」と言われるかもしれませんが、中には隠し子(家族が知らないうちに認知している子)がいたりするかもしれません。

       また、子供が先に亡くなっていた場合は、その子(つまり孫)が代襲相続します。
       そうするとけっこうな人数になるかもしれませんね。その相続人をもれなく探さなければいけません。

       探し方は、被相続人の戸籍から探していきます。
       もしかしたら、その過程で行方不明の相続人、相続欠格者や廃除された方がおられるかもしれません。要注意です。

       そうそう、もうひとつ注意を要するのは相続人の中に胎児(まだ生まれていない子)がいる場合です。
       この場合は、胎児は生まれたものとみなされるので、相続権が発生します。相続人にカウントされるのです。

       できるだけ遺産分割協議は1回で済ませられるように要領よく、注意して行いましょう。
       遺産分割は力のいる作業です。折角、相続人全員の印鑑もらったのに、また、もらわないといけない、というふうなことにならないようにしましょう。

  • Q2 遺言書がある場合はどのように遺産分割するのですか?
    • A2 遺言書があれば、それに従い遺産分割がされるだけです。

      その場合に、遺産分割協議書の作成は義務付けられず、不要です。
      遺産分割は、遺言書がない場合になされるものです。

      逆に、遺言書があるときでも、相続人の方たちが、全員で合意すれば、あらたに遺産分割協議をして遺言内容と異なる遺産分割をすることはできます。

  • Q3 相続人の中に未成年の者がいる場合は?
    • A3 遺産分割協議を行う際に、相続人の中に未成年がいるときは、未成年者は法律行為に関しては無能力者であるため、法定代理人は代理して分割協議を行う必要があります。

      父親が死亡し、その相続人が母と未成年の子のであるとき、未成年者の法定代理人は、通常親権者である母ですが、母と子は遺産の分割について利害関係ができてしまうことになるため、子の代理人として第三者の特別代理人の選任が必要となります。

      未成年者の子が複数いるときは特別代理人もその複数の人数が必要になります。
      特別代理人の選任手続は、家庭裁判所への申し立てをすることになります。

      また、相続人が認知症などにより判断能力が無い場合、家庭裁判所に後見開始の審判の申立を行い、本人のために成年後見人を選任し、成年後見人が本人を代理して相続手続きに参加します。(状況により保佐・補助の場合有り)

      なお、後見人等には身内の人間がなるケースが多いですが、同じ相続人となる場合は利害が対立する関係となり、基本的に後見人にはなれません。

      もし、既に後見人に就任している人が同じ相続人となる場合は上の未成年者のケースと同様で特別代理人の選任が必要となります。

  • Q4 遺産分割協議が纏まらないときはどうすれいいのですか?
    • A4 遺産分割協議がまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割の申立てを行うことができます。
      遺産分割協議は、相続税を「相続が開始してから10ヶ月以内」に納めなければならないことから、10ヶ月以内にどのように遺産分割を行うかを決めなければならないのです。

      しかし、相続はお金と密接に関わりがあるため、相続人はどうしても感情的になってしまいがちで、なかなか遺産分割協議がまとまらないこともあります。

      このような場合、どうやって遺産分割を行えばよいのでしょうか?

      このように、相続人の間で争いが起こり、話し合いで遺産分割を行うのが難しい場合は、家庭裁判所の力を借りることになります。

      具体的に言うと、相続人などの当事者が家庭裁判所に「家事調停の申立て」あるいは「家事審判の申立て」を行います。

      争い=裁判では?とお思いになるかもしれませんが、遺産分割のような家族・親族同士が争うような事件は、いきなり裁判を行うのではなく、まずは家庭裁判所が間に入って、当事者同士が話し合う家事調停から行います。これを調停前置主義と言います。

      では、裁判と調停・審判とでは何が違うのでしょうか?

      裁判は、公開が原則ですので、公衆の前で家庭・親族内の問題を争わなければなりませんし、裁判となると費用や時間がかかってしまいます。

      それに対して調停・審判は、家事審判官(裁判官)や家事調停委員は立ち会いますが、非公開のシステムとなっているので、家庭・親族内のプライバシーを守ることができます。
      なおかつ、調停・審判も裁判の判決と同様の効力を持っています。

      調停は争っている当事者の間に家事審判官(裁判官)と、家事調停委員が間に入って、当事者間で納得ができる話し合いができるようアドバイスをし、解決策を探すもので、決して強制的に命令をするようなことはありません。

      そのため、調停がまとまるか否かは、当事者次第ということになります。

      審判とは、裁判官が事実調べや証拠調べが行ったうえで、強制的に遺産を分割します。
      強制的に遺産を分割するという点が、当事者同士の任意の話し合に調停委員会が参加し、お互いが納得できる解決策を探す調停とはまったく異なります。

      当事者が裁判官の決めた遺産分割に納得できない場合は、告知を受けた日から2週間以内に高等裁判所に異議を申立て、即時抗告の手続を行います。
      即時抗告の手続が行われると、次は高等裁判所で裁判という形で争うこととなります。

  • Q5 遺産分割のやり直しはできますか?
    • A5 一旦、遺産分割協議に基づいて遺産分割協議書を作成してしまった後で、何らかの事情により「分割協議のやり直しをしたい。」ということがあるかもしれません。

      この分割協議のやり直しは、関係者全員の合意によるものであれば法律的には可能です。
      『共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、あらためて遺産分割協議を成立させることができる。』との趣旨の最高裁判決もあります。
      ところが、法律上は可能でも、税務上の取扱いはかなり厳しいです。
      当初作成した遺産分割協議書が強迫や詐欺などの悪意に基づいて無理やり署名・捺印させられたものでない限り、再分割協議には「譲渡」や「交換」や「贈与」として課税されることになります。

      つまり、『当初の分割により共同相続人に分属した財産を分割のやり直しとして再分割した場合は、その再分割により取得した財産はもはや遺産分割により取得した財産とはならない』というわけです。

  • Q6 特別受益とはなんですか?
    • A6 特定の相続人が、被相続人から受けた生前贈与などの特別な利益のことを特別受益といい、特別受益を受けた者を特別受益者といいます。

      民法では、特別受益を受けた相続人の相続分を、特別受益分だけ減らすことによって (特別受益の持戻)他の相続人との公平を図ることが認められています。

      一方、被相続人は、口頭、または書面によって「持戻免除の意思表示」をすることができます。
      しかし、後日の紛争を避けるためには、書面、できれば、遺言書を作成しておいた方が良いでしょう。

      (持戻免除・・・特定の相続人が受けた特別受益が、相続とは無関係である、とすること。つまり、特別受益を受けていても、相続分が減らされない、ということ。しかし、遺留分を侵害することはできない。)

      ○特別受益の範囲
      ・遺贈
      ・婚姻または養子縁組のための生前贈与・・・持参金、結納金、支度金など
      (挙式・披露宴の費用は、通常は、特別受益に当たらない、とされている。)
      ・生活の資本としての生前贈与・・・住宅取得のための費用、事業の開業資金、借金返済の肩代わり、大学進学費用、留学費用など

      ○特別受益がある場合の遺産分割方法
       遺産の額に、特別受益分を加算し、その合計額を基準として分割します。
       <例> 遺産の額  : 600万円
       相続人   : 長男、次男、三男
       特別受益者 : 長男・・・住宅取得資金  400万円
       次男・・・事業の開業資金 200万円

       → 特別受益加算後の相続財産(600+400+200=1200万円)
                   ↓
         200万円を均等に分割すると、各自400万円ずつ
                   ↓
         長男の相続分 : 400万円-400万円=0
         次男の相続分 : 400万円-200万円=200万円
         三男の相続分 : 400万円-  0円=400万円
       
       ※生前贈与された財産は、相続開始時の時価に換算して評価する。
       金銭は、物価指数により相続開始時の価値に換算する。

      ※特別受益分が相続分を超えていた場合でも、超過分を返済する必要はないが、遺留分を侵害することはできない。

  • Q7 遺産の増加に貢献した場合や、被相続人の介護を行った場合は?
    • A7 被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献(寄与)のある相続人には、その寄与に応じた分を金銭に換算して相続分に加える「寄与分」という制度があります。

      これは、本来、寄与がなければ減少していたり、増加しなかったであろう財産が、例えばある相続人がお金を出したり労務を提供することで財産が維持・増加したとすると、減少しなかった遺産の部分まで他の相続人と平等に分けるのは実質的な公平ではないという考えからです。

      ○寄与の形態
      ・被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付
      ・被相続人の療養および看護
      ・その他の寄与

      但し、「特別の寄与」である為に、通常の寄与では足りないとされ、相当の対価を得ているものは財産の維持・増加につながらない為に寄与には該当しません。

      寄与行為は主として無償又はこれに準ずるものである事が多いといえます。
      相当の対価を得ているのであれば、既にその人が行った寄与は決済がなされており、寄与分として主張すべき部分が残っていないと考えられるためです。

      「特別の寄与」とは、身分関係に基づいて通常期待される程度を越える貢献をいうと解されています。

      というのも、民法752条の夫婦間における協力扶助義務、民法877条の直系血族及び兄弟姉妹の扶養義務、民法730条の直系血族及び同居親族の相互扶け合いの義務の範囲内でなされた行為では、特別な寄与とはいえず、その行為を寄与分として相続分を修正するまでの事由として認められないと解されている為です。

      寄与分の価額は、共同相続人間の協議で決められることになっていますが、協議がととのわない場合には、寄与をした人の請求によって家庭裁判所が寄与分を定めることになります。

4. 相続税申告

  • Q1 相続税の申告及び納付の方法はどのように行うのですか?
    • A1 相続税の申告は、相続開始の翌日から10ヵ月以内に行います。

      申告書の提出先は、被相続人の住んでいた地域の税務署です。
      相続税の納付期限は、申告期限までに金銭で一括納付するのが原則ですが、例外として延納と物納の制度があります。
          
      (1)延納
       納付すべき相続税が10万円を超え、かつ金銭で納付することが困難な場合に、担保提供を条件として相続税の元金均等年金払いよる延納を行うことができます。

      (2)物納 
       相続税を納めることが延納によっても困難な場合は、一定の条件のもとに相続財産を現物で国に納付。
       但し、物納財産は国が管理・保管するため、厳しく制限されていますので、慎重な対応が必要です。

  • Q2 相続税は誰でも課税されますか?
    • A2 相続税は遺産額が一定基準以下であれば非課税なので、その場合相続税の申告をする必要はありません。

      遺産額が次の計算式で算出した金額以下であれば相続税はかかりません。

      【算式】 3000万円+600万円×法定相続人数

  • Q3 相続財産にはどのようなものがありますか?
    • A3 相続税の対象となる財産は大きく、1.本来の相続財産、2.生前の贈与財産、3.みなし相続財産、の3つに分類されます。

      1、本来の相続財産
       相続人による遺産分割の対象となる財産のことです。

      2、生前の贈与財産
       相続により財産を取得した者が、相続の開始日から3年以内に取得した被相続人からの贈与財産及び相続時精算課税の適用を受けた財産のことです。

      これらの財産はすでに被相続人の所有から外れていますが、相続税の計算上は本来の相続財産に上乗せします。

      3、みなし相続財産
       本来的に被相続人の財産ではないが、相続税の計算上はこれを相続財産とみなして、本来の相続財産に上乗せする財産のことです。死亡保険金、死亡退職金などがこの分類に属します。

  • Q4 相続財産はどのように評価するのですか?
    • A4 相続税の申告は時価ではなく、相続税法や国税庁の通達に従った評価額、すなわち相続税評価額をもとに行います。

      相続税の申告で最も厄介なのはこの相続税評価額の計算であり、これはかなりの専門知識が要求されます。

      財産評価の詳細は「財産評価基本通達」にありますが、以下にその主なものをご紹介いたします。

      1.土地の評価
       (1) 路線価方式
       主に市街地的形態を形成する地域で採用される方式で、毎年各国税局が作成する路線価図に基づいて土地を評価します。

       路線価×(注)補正率・加算率×地積
      (注)土地の間口、奥行き、地形等で利用しにくい土地は一定の方法により評価額が低くなります。
       逆に、二つの路線に面している角地などは、土地の利用価値が高くなるため評価額も高くなります。

       (2) 倍率方式
       都市郊外の地域で路線価が定められていない地域で採用される方式で、地域ごとに定められている
       倍率表に基づいて土地を評価します。
       固定資産税評価額×倍率

       (3)借地の評価
        (1)又は(2)の評価額×借地権割合

       (4)貸地の評価
        (1)又は(2)の評価額×(1-借地権割合)

       (5)土地所有者の貸家が建っている土地の評価(貸家建付地)
        (1)又は(2)の評価額×(1-借地権割合×40%)

      2.建物の評価
       (1)自用家屋 固定資産税評価額×1.0
       (2)貸  家 自用家屋の価額×(1-30%)

      3.上場株式の評価
       次の(1)~(4)のうち、最も低い金額で評価します。
       (1)相続開始の日の最終価格
       (2)相続開始の月の最終価格の月平均額
       (3)その前月の最終価格の月平均額
       (4)その前々月の最終価格の月平均額

      4.生命保険金の評価
       受取金額-非課税枠(500万円×法定相続人の数)

      5.退職手当金の評価
       受給金額-非課税枠(500万円×法定相続人の数)

       ※弔慰金の非課税枠
        業務上の死亡の場合   死亡時の普通給与の3年分相当額
        業務上以外の死亡の場合 死亡時の普通給与の6ヵ月分相当額

      6.生命保険契約に関する権利(保険事故が発生していないもの)
       解約返戻金相当額

      7.その他の財産の評価
       (1)預貯金 元金+解約利子の手取額
       (2)利付公社債 発行価額
        (上場されているものは、最終価格と平均値の低い方)+既経過利子の手取額
       (3)割引公社債 課税時期の最終価格(上場公社債)
         または、「発行価額+既経過償還差益の額」(その他)
       (4)貸付信託 元金+既経過収益の手取額-買取割引料
       (5)証券投資信託 上場されているものは3の上場株式の評価に準じ、それ以外は解約請求金額
       (6)ゴルフ会員権 取引相場×0.7
       (7)書画・骨董品 専門家による鑑定価額など

5. 遺産の名義変更

  • Q1 名義変更を行うべき財産にはどんなものがありますか?
    • A1 名義変更を行うべき財産には、下記のようなものがあります。
       ・不動産
       ・預貯金
       ・株式
       ・生命保険・損害保険
       ・自動車
       ・ゴルフ会員権
       ・電話加入権

       なお、名義変更に期限はありません。しかし、名義変更をしていないと、後々トラブルのもとになることがあります。早めの名義変更をお勧めします。

  • Q2 不動産の名義変更はどのように行うのですか?
    • A2 法的には、いつまでに名義変更しなければならない、との期間制限はありません。

      しかし、いずれは名義変更をしなければならないので、相続人間で分割協議が整ったあと、できるだけ速やかにその名義変更の手続をとるのがよいでしょう。

      不動産の名義変更をするとは、相続を登記原因とする「所有権移転登記」をすることです。
      この手続は、いわゆる登記所(地方法務局)で、所有権移転登記申請をすることになります。

      なお、この登記申請には、次のような書類が必要です。
      ・登記申請書(所有権移転登記申請書)
      ・固定資産課税台帳謄本(固定資産評価明細書)
      ・遺産分割協議書
      ・亡くなった人の戸籍謄本・除籍謄本など相続関係を証する書類
      ・亡くなった人の住民票除票又は戸籍の附票
      ・相続人全員の戸籍謄本
      ・相続人の住民票(不動産を取得する人)

       自分自身で登記申請をすることもできますが、手数料はかかりますが、司法書士に依頼すれば登記を代行してもらえます。

      上記の必要書類をすべて取り寄せて作成してくれるからです。

      ちなみに、所有権移転登記にかかる費用は、概略、次の通りです。
      不動産の名義変更をするための登記申請には、登録免許税として収入印紙を貼用しなければなりません。

      この登録免許税は、不動産の固定資産税の評価額に1,000分の4を乗じた金額です。
      相続による不動産の取得に対しては、不動産取得税はかかりません。

  • Q3 預貯金の名義変更はどのようにおこなうのですか?
    • A3 相続があると、銀行預金は引き出せなくなります。

      銀行は預金者が死亡した事を知った場合、その時点で預金の支払を凍結します。
      相続が開始すると、亡くなった人の財産は相続人の共有・合有となります。
      遺産分割が確定するまでは、一部の相続人が勝手に預金を引き出し,他の相続人の権利を侵害することを防止するために、銀行も預金の引き出しを凍結するわけです。
      ただし、知った場合ですので、知られなければその銀行口座は永遠に使用することはできます。

      預金を解約したり、名義変更したり、引き出すためには、銀行に次のような書類を提出しなければなりません。

      ①その銀行預金を誰が具体的に取得したかを示す遺産分割協議書

      ②遺産分割協議書を作成していない場合は、引き出すことに相続人全員が承諾した旨を示す承諾書
      (預金払戻請求書又は名義書替請求書)

      ③亡くなった人の戸(除)籍謄本及び相続人全員の戸籍謄本

      ④銀行所定用紙の死亡届出書

      ⑤相続人全員の印鑑証明書

      ⑥預金通帳と届出印、キャッシュカード(発行されている場合)

  • Q4 株式の名義変更はどのように行うのですか?
    • A4 株式の名義変更の方法は、下記の通りです。

      1.証券会社に預けている場合
       証券会社に手続きをしてもらうといいでしょう。この場合、一銘柄毎に手数料がかかります。

      2.自分で保有
       名義書換機関(信託銀行等)より用紙を取寄せて手続きをします。

      3.必要資料
       証券会社所定の用紙と資料が必要になります。




神戸西宮相続税対策センター




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